教育部(2019)『2019 改訂ヌリ課程 現場支援資料(2019 개정 누리과정 현장지원자료)』から、幼稚園の教育課程であるヌリ課程の目標や内容について見ていきます。
(教育部の原文資料はこちらから)
ヌリ課程とは
ヌリ課程は、"3〜5歳の幼児のための国家水準の共通教育課程”です。
韓国では、1969年に幼稚園教育課程が制定されて以来、改訂を繰り返しながら幼児教育も発展してきました。しかし、日本と同様、幼稚園(幼稚園教育課程)と保育所(標準保育課程)で別々の発展を遂げてきており、幼児教育が二元化していました。近年、就学前教育の一元化の必要性が議論されていく中で、幼稚園と保育施設で共通したカリキュラムが2012年から導入されました。それがヌリ課程です。
これまでの流れ
2012年3月、5歳ヌリ課程が適用されました。その後、2013年3月からは3、4歳にまで拡大され、現在の形である3〜5歳対象のヌリ課程が実施されています。
幼稚園、オリニチプ関係なく教育の平等の保障をする目的が含まれています。
2012 5歳ヌリ課程/5세 누리과정
2013 3-5歳 年齢別ヌリ課程(2013)/3-5세 연령별 누리과정(2013)
2015 3-5歳 年齢別ヌリ課程(2015)/3-5세 연령별 누리과정(2015)
2019 改訂ヌリ課程/2019 개정 누리과정
現行の『2019 改訂ヌリ課程』は、2020年3月から実施されています。
まだ始まったばかりの教育課程ですね。
2019改訂ヌリ課程の特徴
遊び中心(놀이중심)
キーワードは、幼児中心(유아중심)、遊び中心(놀이중심)。
教師が子どもの学びを予想し、事前に準備しておく教師中心から、幼児の主体的な遊びを通した教育を行うことの重要性が強調されています。
これまでの『3−5歳年齢別ヌリ課程』でも遊びの大切さは言われていましたが、今回の改訂を通して、遊びの時間を充実させたり、遊びと学びの意義を捉え直すことによって、遊びを通した教育の再確立が行われます。
5つの領域の内容を簡略化
ヌリ課程における領域は身体運動・健康、意思疎通、社会関係、芸術経験、自然探究の5つに分かれており、前回の改訂から変化はありません。
ただ、特徴としてこれまでに3、4、5歳で年齢別に領域別の内容が書かれていたものが、区分なく示されるようになりました(丸で囲いをつけた部分です)。
(出典:교육부 공식 블로그,'2019 개정 누리과정, 어떻게 달라졌을까?'、筆者が加筆)
パッと比較しただけでも、内容がすっきりしたのが分かります。
”内容が多かったから”だけではなく、年齢別に指導内容が固定された教育から脱却し、幼児の発達の様子を考慮しながら弾力的に教育を行っていくという目的があることが読み取れます。
柔軟になった教育課程。
ということは、求められるのは”教師の専門性”ではないでしょうか。
教師の自律性を強調
児童の発達の様子を考慮した遊びを通した教育、先ほども書きましたがこの教育を実現するにあたって教師の自律性が必要であり、解説書にも強調して書かれています。
ただカリキュラムに従い、決められたり、準備されたりした教具で教育を行うのでは、教師の自律性は発揮されていません。幼児の遊びには学びが生まれているのか、実践を振り返って評価していくことも必要です。
これらの点を含め、幼稚園の教師には高い専門性が求められていることが分かります。(院の授業でも、教授が力説されておりました。笑)
ヌリ課程の構成
これまでざっと概要を書いてきましたが、これらを統合して説明した図が以下のようになっています。

”追求する人間像”に向かって、5つの領域を遊びを通しながら経験し、成長させていくという形が見えます。またヌリ課程の運営に当たって、カリキュラムの編成や運営、教授や学習、評価に関する内容が示されています。
詳しい内容は、また次の記事に!
参考文献
1)교육부,2019 개정 누리과정 현장지원자료(고시문, 해설서)
2) 교육부 공식 블로그 (교육부 공식 블로그,'2019 개정 누리과정, 어떻게 달라졌을까?')


